金木犀

「言葉はしぬほど溢れてるのに今の自分に相応で適確なものがひとつも見つからない。なんて吐き捨てるこの言葉すらどこかの誰かが書いた文章で何度も見たことがあるし、全然目新しくもクソもないでしょ。語尾を変えて配置を変えて表現を変えて捏ね繰り回して混ぜるなら、いっそ全部イコールでいいんじゃないかと思うわけ。赤と青が白でしたって言ってよ、そしたら納得してやるから。わたしが確かにこう思ってることは別の人の感情じゃないのに、似たようなオツムの出来のおかげで多数の中に入ってしまって、それに凄く身震いするけど覆せる語彙もない場合はどうしたらいいの。あなたに抱いてるアレを吐くソレが正しく折り目を付けないからわたし、酷く難しくて仕方ないのよ。」