白紙予備軍

予定があるとその通りに行動しなくてはならない気がして、できれば真っ白な未来だけがわたしの将来にあるといいのに、と心から思っている。今任されている仕事の予定や、知人と会う週末の予定。たまには顔を見せてと半ば強制された実家へ赴く予定。次のプロジェクトのプレゼン資料作成。来月消えてしまう有給について、消化予定日を早く提出しろという無言の圧力。先週はがきで届いた同窓会の参加不参加の返答。数少ない友人から有難く声のかかった、映画鑑賞の日付の候補のライン返信。直近だと、帰宅した後、彼氏への夕食の献立に悩む時間。それら全てがわたしの自由な歩幅や行先を制限してくるので、おおきなものからちいさなものまで、ある日突然まとめて投げ捨ててしまいたくなるのだけれど、世の中を粛々と生きているにんげんはそんな気持ちにはならないらしい。雁字搦めを「ひとや社会とのかかわり」と言い換えるらしい。ものはいいようだと思う。わたしは普段なんともない顔をして「ひとや社会とのかかわり」をこなす一般人に紛れているけれど、こんな日は、こんなにぼろぼろに崩れ落ちてしまいそうな日は、わずらわしい、わずらわしい、わずらわしい、電車のホームの後ろを睨みつけながら、自分の将来から明日ごと消した白紙の未来におもいをはせるのだ。