梟の羽

わたしはずっと、基本的にかなしい生き物として生きてきた。
慰めも励ましも共感も、そのときは有難く受け取ることができるのだけれど、相手とさようならをして一分後のわたしの目は大体しんでいる。
掻き消されたはずのもやもやがあっという間に一面のこころを覆って、後ろからするりと目隠しされる感覚を、どうやって説明したらいいのだろう。
立ち上がっていたはずの自分は、灰色から黒にかけてのグラデーションがかった景色の中で、すぐに方向性を見失ってしまう。躓かないように、居場所を確かめるように、そっと膝を抱えてそこに座り込む。そうして周りを見渡して、灰色しか映らなくて、また光が見えなくなったことを実感する。
やみくもに動いてはいけないことを知っている。そうしないと誰かにぶつかって舌打ちされたり、暴言を吐かれたりする。誰かが足元をひっかけてきて転ぶことを学んでいる。ときには石や壁だったりするのだけれど、灰色の視界ではうまく見えない。誰かはいつもわからず突然起こる。だからこわい。
被害妄想だと笑われても、これまでのちっぽけな人生の経験が確信させてしまう。呪いのようにこびりついて離れない。わたしはいつもかなしい。そしてさみしい。ひとりのときに色づく世界をみてみたい。